ラズベリー、ブラックベリー、ボイセンベリーなどの「木苺系のベリーの実」。
その中でも、ボイセンベリーは「食べ頃の色」がわかりにくいタイプかもしれません。
実の色によって「味」や「香り」「熟れ具合」が違うほか、必ずしも一番熟れた状態が美味しいとは限らないので、
自分の好みに合った収穫のタイミングを見極めたいですね。
ということで今回は、そんなボイセンベリーの「実の色」と「食べ頃」についてご紹介します。
ボイセンベリーの花から実になる様子
春、ボイセンベリーの花が咲いて、受粉したものから順に「緑色の小さな実」が誕生します。
ここから、ボイセンベリーの実が成長・成熟していきます。
「実の色」の変化について、もう少し詳しく見てみましょう。
ボイセンベリーの「実の色」の変化
ボイセンベリーの実は、少しずつ膨らみながら、色が変わっていきます。
色と大きさの変化を表すイラストを描いてみました。
実際には、実の色と大きさはは無段階で変化しますが、解りやすいように5段階に分けてみました。
1~5の番号順に、その色と状態をかんたんに解説します。
1.緑
花から生まれた、小さな緑色の実。
その色は「薄緑~薄黄色」へと変化していきます。この時はまだ食べられません。
2.ピンク
実が少し大きくなると、ピンク色に染まってきます。
実際の実は「薄緑~ピンクのグラデーション」の様になり、とても可愛いです。
ピンク色のうちは、まだ食べられません。
3.赤
実がだいぶ大きくなると、真っ赤になります。
ラズベリーなら真っ赤になると食べ頃ですが、
ボイセンベリーは、このような明るい赤色のうちはまだ食べられません。
食べることは可能ですが、まだ早いです。真っ赤な実を食べてみると、硬くて・酸っぱくて、まだまだ熟れていないということが解りますよ。
4.ワインレッド
実の赤色が濃くなっていくと、「赤ワイン」のような上品な赤色になります。
ワインレッドになって以降が食べ頃です。
しかしこの後も実の成熟は進み、その色は次第に暗くなっていきます。
この「ワインレッド」から次の「ほぼ黒」にかけて、色味の程度によっては「マルーン」「栗色」「えび茶色」などと表現されることもあります。
5.ほぼ黒
ワインレッドからさらに色が濃くなっていくと「限りなく黒に近い赤紫色」になります。
その色も次第に濃くなっていき、最後はブラックベリーと同様に「ほぼ黒」になります。
まだ赤みが残っているうちは、光に透かすと赤紫に見えることもあります。
実の色が「ワインレッド~黒」の時が食べ頃です。
ボイセンベリーの実は最後まで膨らみ続けるので、色が黒っぽくなるまで待つと、一番大きい状態で収穫できます。
収穫のタイミングで「風味」が変わる
ワインレッドから黒になる間にも成熟は進むので、実の味や香りが変化します。
「どの色・どのタイミングで収穫するか」によって、風味の違いが楽しめますよ。
香りを重視するならワインレッドの時
実の色が「ワインレッド」の時に収穫すると、ラズベリー譲りの華やかな香りが強く感じられます。
ボイセンベリーはラズベリーを親に持つ交配品種のため、ラズベリーの特徴を受け継いでいるんですね。
ということで、華やかな香りを楽しみたい人は、実の色がワインレッドの時に収穫するのがお勧めです。
ワインレッドの時は糖度が上がりきっていないことが多いので、酸味が強く、甘みが弱いこともありますが、香りが良いと美味しく感じられますね。
味を重視するなら黒くなってから収穫
実の色が「ほぼ黒」になってから収穫すると、酸味が引いて、甘みが出てきて、コクのある味が楽しめます。
ボイセンベリーの実の【完熟】は、この段階だと思います。
ワインレッドから黒になる間にも実が膨らむので、黒くなった時が一番大きくてジューシーです。
また、ここまで色が濃くなっているのは「アントシアニン」などの色素が増えているからで、食べると摂れる「抗酸化作用がある栄養素」の量がより多くなっています。
実の色が黒っぽくなると、華やかな風味は薄れてきますが、実の味や栄養価を重視するなら、なるべく黒くなってから収穫するのがお勧めです。
最終的にどのくらい甘くなるかは、肥料や日当たり・その年の気候などの栽培状況にもよります。私は、とても甘い実が収穫できた年もありますが、この記事を書いている2020年の甘さは控えめです。甘さや味にこだわって年間の栽培を工夫してみるのも面白いと思います。
どちらが美味しいかは、その人の好みで変わる
上の内容をまとめると、
- 「香り」を重視するなら、ワインレッドの時に収穫すると良い
- 「味」を重視するなら、黒くなってから収穫すると良い
ということをお伝えしました。
そして、どちらが美味しいと感じるかは、食べる人の好みによります。
実際、私の周りにも「香りが良いワインレッドの実が好き」という人もいれば、「味が濃い黒い実が美味しい」という人もいます。
私は、ワインレッドと黒の「中間」くらいの実が、香りと味のバランスが良いので好きです。
ということで、あなたも自分の好みの色・タイミングで収穫してみてください。
通常、ワインレッドの時に収穫すると甘みがゼロというわけではないし、黒くなってから収穫すると香りが無いわけでもありません。ワインレッドと黒の中間もあります。いずれにしても「食べ頃」の間に収穫できれば、香りも味も両方楽しめるでしょう。
色と風味が変わるのは早い
ボイセンベリーの実がワインレッドになってから黒くなるまでは早いです。
半日とか1日単位で成熟が進むので、朝にワインレッドだった実は、夕方には黒っぽくなっていることも多いですね。
でも、真っ黒になる手前なら、華やかな香りは十分に残っていますよ。
そして、黒くなってからは味が良くなってきます。
収穫期には、毎日実の色をチェックして、収穫のタイミングを逃さないようにしたいですね。
実が完全に黒くなった後は、風などによる落果や、過熟(腐る一歩手前)が生じやすくなるので、実が黒くなったらなるべく早く収穫するのが無難です。
まとめ
ということで今回は、ボイセンベリーの「実の色」と「食べ頃」について詳しくご紹介してみました。
収穫期、毎日ベリーの実の色が変わっていく様子は面白いし、
それを見て楽しむこともまた、ベリーの栽培の醍醐味だと思います。
美味しい実が食べられるように、収穫のタイミングを逃さないように、
収穫の時期には「ベリーの実の色」をよく観察しておきたいですね。
以上、ご紹介した内容が何かのお役に立てれば幸いです。
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