シリーズ「愛犬の介護の記録」は、筆者のかつての愛犬ポピィについて書いた過去のブログの記事を再構成してこのサイトに転載したものです。
必要な人とワンちゃんのお役に立てれば幸いです。
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盲目の愛犬を支えた「ガイドウォール」
ぶつかりや迷い込みの防止に壁が必要だった
私の愛犬ポピィは、目が見えなくなって初めのうちは、家中あちこちでぶつかって、壁やテーブルの脚などに頭をぶつけていました。ガツンとかなり痛そうな音がすることもありました。
また、目が見えないと家具の隙間や部屋の隅など狭いところに壁伝いに入り込んでしまうことがあり、自分で戻ってこられなくなることがありました。
まさか入り込めるはずがないと思っていた部屋の隅の奥深くで、楽器や電子機器のケーブルに絡まって身動きが取れなくなっているのを見つけたときはギョッとしました。
そういった事故を予防すると同時に、行動範囲を制限するための「壁」が必要でした。
人の生活に支障が出ない方法を模索
実際に考えていくと壁1枚で済むようなものではなく、たくさんの場所に設置する必要がありました。
はじめは、市販の「幼児やペットの侵入を防ぐ柵」みたいなものを使うことも考えましたが、いくつも必要なのでかなりコストがかかりそうですし、部屋中に並べると人間の生活に支障が出ます。
ペット用の組立式ケージの柵は安価で使いやすそうですが、これも人が容易にまたぐには背が高過ぎます。また、単なる「柵」ではぶつかったときの衝撃や痛みを和らげることができません。
自分でガイドウォールを作ることにした
思い付く市販の柵では上手くできそうにない。そこで考えたのが「自作のガイドウォール」です。
- ホームセンターなどで1枚数百円で手に入る「浴室用のマット」を買ってきて、
- それをカッターで必要なサイズに切って、
- ブックスタンドを付けて自立するようにして、
- それを必要な箇所に設置しました。
安価で加工がかんたんな身近な素材を使って、必要な場所に必要最小限の大きさ・高さの壁を作って設置したということです。
これにより、「行動範囲の制限」や「迷い込みの防止」、そして「ぶつかった時に痛くない」という3つの機能を持った「壁」で愛犬の生活スペースを囲うことができました。
必ずしもぐるりと全周に設置する必要はなく、「この先は行ってはダメ」「ここはぶつかると危ない」という箇所にだけ設置すれば十分でした。
ガイドウォール設置後は、ぶつかっても痛くない壁に区切られた自分の行動範囲の中で活発に歩き回るようになり、「この壁を越えなければ迷子になることはない」ということが解ったようでした。
また、寝ぼけてフラフラと歩いているときや、排泄のために焦っているときなども、ガイドウォールに身を任せて歩けば、最後は無事に寝床やトイレなど目的の場所にたどり着けるのでした。
目の見えない愛犬の生活に「安心」と「安全」を提供する『手作りのガイドウォール』、とても役に立ちました。
ガイドウォールの作り方のポイント
この自作のガイドウォールは非常に安価で作ることが出来ます。
素材は「浴室用マット」のほかにも、「段ボール箱」や「発泡スチロールボックスの蓋」など身近なものを使って作ることができると思います。
「壁」として比較的広い面積で使うため、大きめで、カッターナイフで好きな大きさに切ることができる、加工がかんたんな素材が良いと思います。
壁の高さは犬が飛び越えられない高さにして、壁を自立させる「スタンド」の部分は犬が押したりぶつかったりしても倒れないものをつけます。
高さ30cm程度までなら、ブックスタンドで大丈夫でしたが、それより高い壁を作る場合は、もっと大きな脚部や錘が必要になるでしょう。
また、スタンドの固定には私はタイラップを使用しました。ブックスタンドを使う時には、写真のように「穴が開いたもの」を選ぶことでタイラップを通せます。そして、浴室マットに穴を空けてタイラップを通しました。
私の愛犬ポピィは小型犬だったので、壁の高さは30cm程度でちょうど良かったです。このくらいの高さであれば、人間がそこを通るときにもかんたんに跨いで行くことができるので、「設置したガイドウォールが邪魔で生活に支障が出る」というような弊害は最小限に抑えられるでしょう。
愛犬が押したり、人がつまづいたりしてガイドウォールが動いたり倒れないようにするために、私はガイドウォールを隣接している家具などにビニルテープで固定していました。
もしあなたが同様のガイドウォールを作ってみる時には、設置場所にあわせて色々な工夫をしてみてください。
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